石原小学校第25代校長 関根達郎
1 はじめに
 石原小学校が150年目を迎える。石原小学校は明治6年12月に開校した。熊谷市内では11校が明治6年開校し、令和4年(2022年)に150年目を迎えた。周年行事は151年目に行っても、150年目におこなっても良いとされている。本来なら150年を超えて151年目に行うというのが多い。石原小学校の歴史をひもといたとき100年目(昭和47年)火災に遭い2つの木造校舎を焼失した。学校沿革誌にはそのことが鮮明に記されている。「昭和47年は、たまたま本校創立100周年に当たり、かねてからその記念行事の計画があったが、6月19日不慮の災害に遭ってその実施を中止せざるを得なかった。しかし校舎新築の成るに及んで再び記念行事の議が興り、冗費を節して次のような行事を実施した。」(当時の神沼校長)
 石原にとって100年めの年に100周年を行うはずが、火事で中止。他校は華々しく周年行事を行っていたのに、石原小学校は悲しみに暮れ、暑い中で他校で間借りをしたり、体育館をしきったりして授業を続けていた。校舎建築(2号棟)も同時に行われ、校庭はプレハブ校舎が覆い尽くしていた。その年の運動会は当然行うことができなかったと思われる。
 石原の歴史で100周年は苦難の年になった。しかし校舎を新築し翌年100周年記念運動会等行事を行った。「苦難を乗り越えチャレンジする」それは石原小学校の今も生き続けている。今回の150周年行事は、100周年行事を行う予定だった1972年の50年後の2022年に行う方向で考えた。

2 コロナ禍の150周年
 世界は2020年からコロナ禍となり、3ヶ月の学校の休業という未曾有の事態を迎えた。昔から石原小学校は県北一の児童数を誇る大規模校であった。コロナ対策で3密は避けるという方針は、大規模校圧倒的な不利な状況であった。歴史上教室や空きスペースの少ない石原小学校は、困難を抱えることになった。空きスペースを求めて近くの学校に間借りすることも考えた。コロナ禍で安全を担保するために「他の学校ではできても、石原ではできない」ということが多すぎた。職員ともに工夫し、徹底したコロナ対策、ICTの活用、地域との連携、行事の大きな見直しを行った。人数が多いからと言って学級閉鎖やクラスターがたくさん起きてしまうことは避けたい。その結果、日課表変更、運動会web配信、修学旅行、林間学校、遠足の徒歩化(スモールトラベル)朝会の完全配信等近隣の学校とは一線を画すことになった。
そんな中で石原小学校は150周年を迎えることになる。この節目を学校をあげてお祝いをしたい。コロナで収縮した人々の絆、子供たちの心を元気にしたい。そのためには単なる150周年式典実施では達成することができないと考えた。コロナ対策をしつつ、地域とのつながりを大事にして、ICTを活用することで今までにはない150周年行事を創ることが必要であると考えた。コロナ禍だからこそ150周年行事を行うのである。

3 目標 歴史を学び、地域や卒業生と共に、心に残る石原小の夢の舞台を創る
石原小学校はたくさんの卒業生を輩出してきた。2020年夏休みコロナ禍で自粛している中、歴史資料が校長室からたくさん見つかった。大量の写真を少しずつ整理するうちに知らないことが分かったり、疑問を持ったりすることが多くなってきた。とくに昭和47年の火事の写真「焼け跡の校舎」作文集「学校の火事」が発見されたとき、それを残した先人の思いを強く感じた。火事から力強く立ち上がったり、当時の人々の協力があったりと石原小学校が大きく変化するときであったはずである。「子供たち、卒業生、保護者のみなさん、地域のみなさんに伝えたい。みなさんから話を聞きたい。」歴史から学びこれからの生活に生かすことは大切だと考えた。写真、資料をなんとか届けたい。資料をもとにもう一度「心の中の石原小を思い出す」という経験は、新しい何かを生み出すことができると考えた。石原小学校を「石原小でよかった」という学校にしたい。そのためにも歴史を経験することが重要である。そして、人数の多いアドバンテージを生かして「石原小学校の自慢」を作り出す。これが150周年行事の大きな目標である。歴史を塗り替えるためには「新しい150周年式典」でなくてはならない。

4 150周年に記念行事の基本方針
(1)児童ととにも石原小の歴史を学ぶ
①石原小歴史授業  令和3年11月 土曜授業で全校児童に行う。(石原学)
   ②石原小の歴史の説明 式典当日にスライドショーを児童の発表で行う。
(2)児童が活躍する場を創る
   ①児童の活躍 司会・発表 
     式典から役割を積極的に児童が担う。
     児童が楽しめる企画を考える。
   ②運動会の要素を導入する
運動や表現を児童に行わせて主役としての意識を持つ。
     地域・卒業生に現在の児童の様子を見せる。
   ③ロゴマークの作成・歌の作成等
児童の自由応募として広く募集して参画意識とやる気の醸成を図る。
    ロゴマーク展 校訓書道展 テーマソング作詞 冬休みの宿題
    ロゴマーク等の積極的な活用
(3)式典を公開し、卒業生地域保護者関係者と共に祝う場をつくる。
   ①卒業生・地域・保護者に参観を呼びかける。
    150周年であることを学校内だけでなく、コロナで分断され、縮小しているコ
   ミュニティを活性化させるきっかけにする。卒業生を大切にする。
   ②地域への啓発
    150周年を通して「地域の安全見守り」「子供110番の家」等の地域安全体
   制の啓発を行う。
   ③公民館活動
    公民館との連携を図り石原地区3地区の連携を深めていく。学校と公民館活動の
   関係を深めていく。
(4)地元企業等とのコラボでパワーアップして人々の心を温かくする。
①記念品
    卒業生の協力で記念品作成 梅林堂・藤澤商事のお菓子の申し出を具現化する。
   ②地元スポーツチーム
    埼玉パナソニックワイルドナイツ・アルカスの地域との結びつき推進活動
   ③SNS・地域コミュニティ
インスタグラム フェイスブック 地元FM局等との連携

5 記念行事の手法
 (1)今までやったことがないことをやる
   ①コロナ対策として野外「県営熊谷ラグビー場」で式典を行う
広い屋外会場を確保する。PTA会長の計らいで、県営熊谷ラグビー場を予約する。 芝生のグラウンドが使える7月9日に決定する。25000人収容の会場でコ
    ロナ対策ができることから保護者・地域・卒業生も招待できる。
   ②ワイルドナイツ・アルカスkumagayaとの交流
埼玉パナソニックワイルドナイツの選手と交流する運動会を実施している。児童
   のやる気を起こさせるためにも今回の式典にはスポーツ選手との交流を実施する。
 (2)動画を使う
   ①歴史動画
学校に保管されていた写真アルバムの整理をして、動画にまとめる。
    写真を中心とした歴史動画を7本作成した。
    ・校舎の歴史・歴代校長と歴史1・歴代校長と歴史2・運動会の歴史
    ・大正時代のアルバム・貼り絵の歴史・行事の歴史等
   ②卒業生・地域・歴代校長等のメッセージ動画
    歴代校長 地域の方々・卒業生から「150周年おめでとうございます」というお
    祝いメッセージを15秒程度で作成する。SNSを通じて広く募集をすると同時に
    学校に招待して収録する。
    ・歴代校長5人、校区連絡会長・公民館長・スクールガード・消防団・お囃子会
     卒業生・過去に勤務した教員等 協賛企業等
   ③児童の動画
児童一人一人からの情報発信を行う。
    ・724名の動画一人2秒程度。「ぼくの夢は〇〇です」全クラス全児童
    ・委員会暑さ対策動画
  ①の歴史動画は式典前までに公開して広く周知するために活用していく。全校児     童に見せる。youtube限定配信。地域の公民館講座で広める。、
    ②③に関しては、式典当日にオーロラビジョンで公開する。
 (3)児童の参加・応募
   ①校訓書道展
1年から6年生まで冬休みに自由応募の形で書写が好きな児童に応募を行った。
   122点の応募があった。全校児童の投票により選考をおこなった。各文字上位約
   10点を表彰した。応募作品はすべて校内に展示している。
   ②ロゴマーク展
1年から6年まで冬休みに自由応募で作品を募った。イラスト風の作品とマーク
   的な作品合わせて270点の応募があった。学年投票で各学年4点ずつ選んで全2   4点となった。そこから全児童で決選投票を実施して、イラストから1点マークか
   ら1点選んだ。
   ③記念ソング歌詞募集
   150周年記念ソングをオリジナル作成を決め作詞に関しては2月はじめから   児童に依頼をする32点の応募があった。
   ④司会・歴史紹介
    6年生を中心に式典の司会・進行、児童の活躍場面のための役割分担を行った(3
   9名)準備は5月下旬から始めた。
   ⑤ミニ運動会
ワイルドナイツ・アルカスとのアトラクションの提案が有り、5月下旬からミニ
   運動会の形で児童とラグビー選手との交流を考案した。各学年とも短時間で準備が
   できて安全に楽しめるものを教職員が考え、事前に各学年2時間程度練習を行った。
 (4)音楽を使う
   ①記念ソング
シンガーソングライターに作曲を依頼する。児童の作詞した作品をシンガーソン
   ライター「有梨」さんに渡し作詞の補作を依頼した。デモテープが5月下旬に完成
   した。6月初めにフジクラ楽器からアレンジャーを紹介され、楽譜興しをして松井   氏に依頼する。6月24日にカラオケが完成する。最終録音が6月27日完成する。   1ヶ月前からお昼の放送で披露し、全校児童に限定配信で練習を行う。7月9日有   梨さんにきてもらって演奏し、会場に披露した。
   ②直実節
直実節を全校で踊るために校内で練習する。youtubeで練習動画を配信して全校で   取り組むようにした。当日は全校児童+保護者+卒業生で踊って盛り上げた。
(5)広報
   ①新聞等 埼玉新聞 FMクマガヤ 卒業生との連携
   ②SNS 実行委員会役員によるインスタグラム・フェイスブックの展開
③チラシ 実行委員会役員のデザインによるチラシ作成
6 7月9日までの計画


7 7月9日当日の様子
記念式典当日 天気晴、最高気温31℃、コロナ禍でありながら、第7波の前で感染者数は抑えられていた。児童は各家庭での送迎により540名が来場、学校からのバスで約80名を輸送した。来場は推定で2500名 うち石原小児童+保護者約1500名 来賓45名
熱中症対策とコロナ対策の両面から心配されたが無事に開催することができた。

 記念式典協力企業他
 映像 株式会社Gives   麦茶 伊藤園  看板 高橋工芸 
 お菓子 梅林堂 藤澤商事 
 選手協力 埼玉パナソニックワイルドナイツ アルカス熊谷 
 音響 アルファミュージック
 報道 埼玉新聞 毎日新聞 埼北よみうり Jcom FMクマガヤ 佐藤達哉
 テーマソング 有梨 フジクラ楽器 松井清 長谷川舜 鳩 矢部孝之

8 おわりに
 当日は、児童・保護者の他、中学校の卒業生、地域、ほか卒業生が多数来場した。熊谷ラグビー場で開催することになり、準備をしながら学校だけでなく、地域にとっても大きな期待が寄せられたことを感じた。当日は見たことがない場所で、石原小の歴史や校歌、テーマソングや直実節、ワイルドナイツとの運動会など思い出に残る行事になったと思われる。児童にとっても、保護者にとっても7月9日は「夢の舞台」として思い出になったと考える。この日だけでなく、令和4年度は1年を通して150周年を祝い石原小にとって大切な年にしていきたいと考えている。たくさんのスタッフがこの日に向けて協力してきたことで絆の深まりを感じる。さらに今回は地元企業、卒業生とのコラボが大きな機運醸成につながっている。多くのみなさんに心から感謝申し上げたい。