6月23日(月)のやわらか熊谷 僕らがつなぐ物語 は?

上之雷電神社の宮司 川端康稔さんをゲストに雷電神社の歴史 現状 そして7月29日行われる大祓式に イベントについて伺います いま 雷電神社が熱い!どうぞお楽しみに

第38回 上之雷電神社の宮司に迫る、熊谷の物語

⏰月曜日 2025.06.23 12:00 · 52mins

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【オープニング】

Navi:時刻は正午を回りました。AZ熊谷ビル6階、FMクマガヤYZコンサルティングスタジオからお届けする、月曜お昼の番組「梅林堂提供 やわらか熊谷~僕らがつなぐ物語~」。今日は第38回、「上之雷電神社」をテーマにお送りします。

最近、私の中で雷電神社がアツいんです。すっかりファンになってしまって。というわけで、今日はその上之雷電神社の宮司・川端康稔さんにご登場いただきました。こんにちは!

川端:こんにちは。川端でございます。本日はよろしくお願いいたします。

Navi:今日はようやくお会いできました!ずっとご連絡はしていたんですけれども、やっと対面できて感激しています。初めまして。

川端:初めまして。ようやくお目にかかれましたね。

Navi:インスタでもご活躍を拝見していますし、奥様からもお忙しさは伺っていました。今日は色々とお話を聞けるのを楽しみにしてきました。

川端:打ち合わせの時点で盛り上がりましたね。

Navi:はい。今日は雷電神社のこと、そしてこれからのことも含めて、お話を伺ってまいります。さて、まずは恒例の質問です。「出身の小学校はどちらですか?」

川端:私は佐谷田の出身でして、小学校は久下小学校に通っていました。ちょうど東の外れの方だったので、久下小の方が近かったんですね。

Navi:なるほど。それで中学校は?

川端:東中学、地元では「がっちゅう」って言います。

Navi:「がっちゅう」!熊谷独特の呼び方ですよね。東中といえば名門ですよ。熊谷市の元教育長さんもそうでしたし、スポーツも強くて、堀越選手も出身です。

川端:確かにそういう意味では名門ですね。私は名門とは言えなかったかもしれませんが(笑)

Navi:「がっちゅう」って、熊谷特有の言い方ですよね。他では「とうちゅう」って言ったりしますけど。

川端:そうですね。私はサッカー部でした。ただ、記憶に残るゴールは…オウンゴールでしたね。後ろにパスしたらそのまま自分のゴールに入ってしまって。

Navi:(笑)そうだったんですね。ところで、熊谷といえば「ムサシトミヨ」が有名ですよね。私、理科の教員でもあったので、ムサシトミヨを扱う学校で働きたいなと憧れてたんですよ。

川端:久下小には当たり前のようにいましたね。

Navi:そう、久下小も東中も「ムサシトミヨの学校」なんですよね。天然記念物が校内に普通にいるという。だから逆に、そのありがたみを子どもたちはあまり意識していないのかもしれません。

川端:ちょうど私が小学校2年のとき、池が作られて、そこにムサシトミヨがいた記憶があります。

Navi:それはちょうど「創成期」ですね。理科教師としては羨ましい限りです。

川端:自然に囲まれて育ったことは、本当にありがたかったと思います。

Navi:そして今日は雷電神社のお話ですが、実は私、以前「上之」という住所に住んでいました。今は「中西」という地名に変わっていますけど、父が上之の出身で、よく雷電神社の話をしてくれたんです。

川端:あ、そうなんですね。

Navi:はい。私は市役所の近くで育ったので、高城神社の方が馴染み深かったのですが、父はいつも「お前の地元の神社は雷電神社なんだ」と言って、7月の終わりのお祭りには必ず連れて行ってくれました。

川端:7月27日ですね。

Navi:ええ。子どもの目線から見ると、本当に人がたくさんいて、活気のあるお祭りでした。大人になってから神社が小さく見えるようになったのは、自分が成長したからなんですよね。でも最近、また雷電神社が熱くなってきたように感じています。

川端:そうですね。私にとっても雷電様は、中学生の頃から身近な存在でした。春には桜が並んでいて、それがとても綺麗で印象的でした。それから、お社の大きさにも惹かれましたね。大人になって神社の催事に関わるようになってからは、地域の皆さんの誇りのようなものを強く感じました。

Navi:父もまさにそのひとりでした。

川端:はい。ただ、時代の流れの中で、少しずつその思いが薄れてしまった方もいらっしゃる。ですから、今こそもう一度その誇りを思い出していただけるよう、色々と働きかけをしているところです。

Navi:もし父が生きていたら、「雷電神社の宮司さんとラジオに出たよ!」って報告したかったです。

川端:それは嬉しいお話ですね。

Navi:雷電神社の素晴らしさは、成田小学校…今は成田星宮小ですが、そこで教員をしていたときにも感じました。なぜなら、校歌に「御祖五郎の遺徳をしのび」という一節があるんです。

川端:はい。その「御祖五郎」とは、成田家8代当主・成田家時公のことですね。雷電神社の「中興の祖」として知られる方です。

Navi:子どもの頃はその意味がわからなかったけれど、今改めてその歌詞を読むと、雷電神社への深い尊敬が込められているんだと気づかされました。

川端:校歌の冒頭には「古い歴史の我が産土(うぶすな)よ」ともあります。「産土」とは、その土地の守り神としての神社を指す言葉で、これはまさに雷電神社のことなんです。

【看板の設置〜雷電信仰について】

川端:実は最近、神社の近くにあるミニストップの店舗に看板を設置したんです。「厄除け」などの一般的な文言ではなく、成田星宮小の校歌の一節をそのまま書かせていただきました。

Navi:えっ、校歌の一節を?

川端:はい。看板の中央に「上之雷電神社」と大きく記し、その右側に「古い歴史の我が産土よ 御祖五郎の遺徳をしのび」と縦書きで記載しています。

Navi:すごい…今度、ぜひ探しに行ってみます。

川端:ありがとうございます。「なんで神社の看板に校歌が?」と疑問を持っていただくところからでいいと思うんです。その言葉の意味がすぐにわからなくても、きっと大人になってから「なるほど」と腑に落ちる。そんな繰り返しがあればと思い、設置しました。

Navi:私、恥ずかしながら今初めて、「産土(うぶすな)」が雷電神社を指していることを知りました。校歌に出てくる「御祖五郎」と「晴湖」にばかり目がいっていて…。

川端:その御祖五郎・成田家時公が神社の社殿を再建した方でして、その御社殿自体が今では県の文化財です。また、当時奉納された御扉も文化財になっており、いずれもおよそ800年前のものです。つまり「古い歴史の我が産土」というのは、文字通りなんですね。

Navi:今そのことを知って、校歌の重みを改めて感じました。お話を伺えて本当によかったです。

川端:ありがとうございます。

Navi:成田星宮小の皆さん、看板の存在、知ってますか? あれ、すごく尊い取り組みだと思います。

川端:ありがとうございます。参拝者を増やす目的というよりも、「地域の誇りを育てる」ための言葉を掲げたかったんです。

Navi:私自身、教員としてもそのあたりまでは掘り下げられなかったので、今また改めて同僚たちと「産土って知ってた?」と話して、みんなで雷電神社に行ってみようかなと思っています。

川端:ぜひお越しください。卒業生の方も、教職員も、地域の方も、何かを感じていただけると思います。

Navi:校歌の歌詞をきっかけに、神社に足を運ぶ。まさにその「入口」が、看板なんですね。

川端:はい。その一歩を後押しできたら嬉しいですね。

Navi:ではここで、少し歴史についてもお伺いしたいんですが…雷電神社の創建は800年以上前とのことですが、それより古いものもあるんですか?

川端:はい。あくまで現在の社殿が建てられたのが800年前であって、その前から人が住んでいた土地でしたから、おそらく祠のようなものはもっと古くからあったと思います。もともとこの地には武士集団がいたので、それ以前から人々の信仰の場だったのではないでしょうか。

Navi:なるほど。成田という地名にも田んぼや用水の印象が強いですが、やはり農業が盛んな場所だったんですね。

川端:そうです。特に農村部では「雷電信仰」が非常に盛んでした。

Navi:雷電信仰、興味あります。雷って怖い存在でもありますが、どうして信仰の対象に?

川端:これはとても不思議なことで、当時の農家の方々が雷の「力」を肌で感じ取っていたからだと思います。雷が空気中の窒素を雨に取り込ませ、地中に降りることで作物がよく育つ。現代の科学で説明できることを、昔の人たちは体感として理解していたのだと思います。

Navi:つまり、「雷が落ちる=豊作」という考えだったわけですね?

川端:その通りです。だからこそ「雷様、どうか落ちてください」と願うようになり、それが雷電信仰に繋がっていったんです。雷を恐れるだけではなく、その力をいただこうとする信仰ですね。

Navi:なるほど…それは深いですね。しかも熊谷には、県内でも随一の雷電神社があるという誇り。

川端:はい。実際、今でも7月28日には「大雷講」といって、県内各地から多くの方が朝6時から参拝に訪れます。「雷電様のご利益をいただきたい」という信仰が今も息づいている証です。

大祓式と現代的な取り組みについて

Navi:さて、雷電神社といえば、今年は新たな歴史が始まると伺っています。「大祓式」がいよいよ行われるんですよね?

川端:はい。今年6月29日に、当社では初めて記録に残る形で「大祓式」を執り行います。もしかすると古くには行われていた可能性もありますが、文献上は今回が初めてです。

Navi:熊谷市内では高城神社の「胎内くぐり」がよく知られていますよね。あれと同じような「茅の輪くぐり」を、雷電神社でも?

川端:おっしゃる通りです。全国的に6月と12月は「半年の罪・穢れを祓う」大切な節目で、大祓式が行われています。当社でも、茅で編んだ大きな輪を参道に設置し、参拝者の皆さまと一緒に三度くぐる神事を行います。

Navi:素晴らしいですね。しかも今回は「光る茅の輪」だとか?

川端:はい。これはおそらく日本初になると思います。茅の輪の内側に照明を組み込み、当日は七色に発光するように設計されています。ただし本番まで、明かりはまだ灯しておりません。当日、初めてお披露目となります。

Navi:すごい…時代の最先端ですね。しかも、ただ光らせるだけでなく、ちゃんと意味がある。

川端:雷電神社は「電気の神様」をお祀りしています。電気というエネルギーは、自然界においても人間社会においても最も根源的かつ先進的な力です。ですからこの「光る茅の輪」も、古来の祓いと現代技術の融合として、新たな信仰のかたちを示したいと思っています。

Navi:素晴らしい…!そして聞いたところによると、ARも導入されるとか?

川端:はい。社殿の脇にQRコードを設置し、それをスマートフォンで読み取って社殿にかざすと、スマホの画面上に神様のお姿が現れます。まるでご神体が浮かび上がって、こちらを見つめてくださるような演出です。

Navi:未来ですね…雷電神社、すごすぎる。しかもこれ、やってみたくなりますよ!

川端:そう思っていただけたら嬉しいです。AR技術を通して「神様の存在」を体感していただければ、参拝の意味もより深まると思っています。

【賽銭泥棒の詩・地域活性】

Navi:そして今回、大祓式に合わせて前夜祭のような形でイベントも開催されるそうですね。

川端:はい。6月28日(土)には、キッチンカーやステージイベントなど、地域の皆さまと一緒に楽しめる夜祭を予定しています。

Navi:中でも気になるのが…「川端宮司の歌」ですね!

川端:急遽、私もステージに立つことになりまして(笑)。弾き語りで数曲披露させていただきます。

Navi:えっ、ご自身で作られた曲があるんですか?

川端:はい。中でも「賽銭泥棒の詩(うた)」という曲があります。これは、実際にあった賽銭泥棒とのやりとりをもとに作詞・作曲したものです。盗みに来た方と、私がどう向き合ったか。それを一つの歌にしました。

Navi:それはもう…聞きたすぎます!

川端:他にもカバー曲などを交えて、短い時間ではありますが歌わせていただく予定です。

【地域とのつながり:写真展と五郎堤】

川端:そしてもう一つ、注目していただきたいのが「花澄KAZUMIさん」による写真展です。上之出身の俳優・写真家で、海外のコンクールでも金賞を受賞された方です。

Navi:すごいですね。神社の森でやるんですよね?

川端:はい。神社南側の森に、1000×1500ミリの大きなパネルを17枚展示します。日中はもちろん、夜はライトアップも加わって、非常に幻想的な空間になると思います。この写真展は8月末まで開催しますので、ぜひじっくりご覧いただきたいです。

Navi:本当に行きたくなりました。

川端:実は、五郎堤という土手にまつわる伝説もあるんです。かつて成田家時公が神社に参拝された際、葦毛の馬に乗って御社殿の前を通ったところ、落馬してしまった。地元の人が「神様が馬に乗って現れるから、横切った人を落とすんだ」と言い伝え、堤を築いたという話が残っています。

Navi:その五郎堤にも、熊谷にちなんだ植物が植えられているんですよね。

川端:はい。クマガイザクラ、クマガイツバキ、クマガイソウ。熊谷の名を冠するこの3種類の植物を、神社の各所に植栽しています。特にクマガイソウは育てるのが難しいのですが、今年はなんとか3株が残り、来年に花を咲かせてくれることを願っています。

Navi:最近SNSで、ラグビー選手たちが神社でお祓いを受けている様子を拝見しました。梅林堂さんの神社、いま「ラグビー神社」としても注目されていますね。

川端:はい。梅林堂本店の敷地内に建立された神社です。社長様が非常に敬神の念が篤く、10年以上にわたり私どもの神社や佐谷田神社に毎月お参りくださっていました。

Navi:そんな長いご縁があったんですね。

川端:はい。そうした中で、7年ほど前に「神社を建てたい」とのご相談をいただきました。ラグビーの神様をお祀りしたいということで、御神体はなんとラグビーボールのかたちをしたもの。それを制作したのが、鏡ではなく各務ガラス工房さんです。

Navi:各務ガラス工房さんの御神体…すごいですね。

川端:そのラグビーボールの中に、御鏡も納められています。そして、年に一度の例祭として「嘉祥大祭(かしょうたいさい)」を執り行っております。お菓子をお配りし、奉納と感謝の祈りを捧げる祭典です。

Navi:先日行われた際は、本当に多くの方で賑わっていましたね。

川端:はい。駐車場も芝生エリアもいっぱいになって、ワイルドナイツの選手の方々も参列くださり、非常に活気あるお祭りとなりました。

Navi:雷電神社が地域とスポーツ、そして信仰をつなぐ中心になっている感じがします。

川端:そうであればありがたいです。ラグビーは武士的精神とも結びつくところがあり、成田氏という武家の歴史を持つ雷電神社とも相性が良い。そしてワイルドナイツはパナソニック、つまり「電気」。雷電神=電気の神様とのご縁も自然です。

Navi:本当にうまく繋がっているんですね。

川端:加えて、雷電神社は「神経の神様」として、心療内科や神経外科などの関係者の方々も多くお参りにいらっしゃいます。医療と信仰の接点としても意味を持ち始めています。

【未来へ向けて・雷電から広がる光】

Navi:まるで「中興の祖」みたいですよ。今の雷電神社が、地域の光を中心に放っているような感覚があります。

川端:いえいえ、すべては神様と皆さまのおかげです。ただ、これからの神社というものが「何もしなくても残る」時代ではなくなったという実感はあります。

Navi:確かに。かつては「そこにあるのが当たり前」だった神社も、今では意識的に足を運ぶ場所になってきていますよね。

川端:その中で、我々神職や総代が「語る」必要があると考えています。昔は「神道は言挙げせず」と言われてきましたが、今は言葉や形で発信しなければ、信仰の意味も伝わりづらい。

Navi:まさにこの番組もその一つですね。

川端:ありがたいことに、雷電神社の変化に気づいて、再び足を運んでくださる方が増えています。境内を整え、森を開き、看板を設置する。それらすべてが「地域に根ざした神社」としての役割を果たすための試みです。

Navi:そして、6月29日はいよいよその集大成。「光る茅の輪くぐり」が開催されますね。

川端:はい。午後5時からの神事では、数百人の参列者が参道を進み、茅の輪を三度くぐります。その後は、元THE BLUE HEARTSのドラマー・梶原徹也さんによる奉納演奏が続きます。前夜祭の28日も盛りだくさんですし、写真展やキッチンカー、占いブースもご用意しています。

Navi:FMクマガヤでも、28日の夜7時から特別番組を放送することが決定しています!梶原さん、俳優・写真家の花澄さん、そして川端宮司も出演されるとのこと。

川端:ありがとうございます。ラジオからも神社の魅力が伝わればと願っております。

Navi:熊谷にとって、2025年6月29日は歴史に残る日になりますね。

川端:そうなれば嬉しいです。そしてこの輪が、神社から地域へ、地域から世代へと広がっていくことを願っています。

Navi:私も上之出身として、父にこう伝えたい。「雷電神社で、茅の輪くぐりが始まったんだよ」って。

川端:ぜひ、お伝えください。

Navi:本日は、上之雷電神社の宮司・川端康稔さんをお迎えしてお届けしました。時代の先を照らす神社、そしてその中心にいるお人柄に、心から感謝です。

川端:本日は誠にありがとうございました。